巻頭言
人工心臓臨床応用のために
田口 一美
1
1広島大学第1外科,人工心臓実験施設
pp.719
発行日 1978年8月15日
Published Date 1978/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203226
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現在,完全人工心臓は仔牛における184日間生存を筆頭に米国,西独,オーストリア,日本等で30日を越す実験生存例が次第に増加しつつある。しかし,例外として米国のD.Cooleyの例はあるけれども,人工心臓の臨床応用の機運は現在のところ明瞭な形ではみられない。これはむしろ人工臓器研究者の側よりも,心臓医,心臓外科医にその機運が少ないといえる。人工臓器としてのオーダーが他のものと比較にならないとはいいながら,開発研究にたずさわるものとして大きな関心事である。このことは応用分野が医学である大型プロジェクト研究の進め方を検討する上でも重要な意味をもつものである。そこで我国で人工心臓を主研究題目とした唯一の国立施設を主宰し,また,心臓外科を特色とした外科教室を同時に主宰するという特殊な立場から,人工心臓臨床応用のための現状分析を行って,巻頭言とした。
既に述べたように30日以上の完全人工心臓置換の生存は容易であり,最高は184日に達しているが,この成績は心臓外科医や心臓医をして臨床応用を実行させるに充分なものであろうか。
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