Japanese
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外科の焦点
心臓人工弁の臨床応用
Clinics of heart valve substitute
和田 寿郎
1
,
北谷 知己
1
Juro WADA
1
1札幌医科大学胸部・心臓・血管外科教室
pp.1707-1716
発行日 1968年11月20日
Published Date 1968/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204727
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はじめに
弁膜症治療の歴史に,実際上人工弁が登場するようになつたのは1958年頃からでありますが,人工弁による弁完全置換術はここ数年間,殊に欧米においてはroutineの治療法として多くの症例に行なわれてきました.わが国における弁完全置換術の現況は,昭和42年1月末までの著者の集計によると全体で731例となつていますが(第1表),米国のテキサス,ミネソタ,Mayo Clinicおよびクリーブランドなどでは各施設とも2,000例近くの臨床例を有しており,欧米に比べ遜色は免がれません.
そもそも人工弁研究の歴史は,1950年Denton等の僧帽弁移植の研究に端を発するものと思われますが,1952年Hufnagelが大動脈弁閉鎖不全症の患者の下行大動脈へ,プラスチックのボール弁を挿入することにより,閉鎖不全の程度を軽減したのが,人工弁臨床応用の嚆矢といえます.しかしながらこの方法は,血行動態を完全に正常化しうるものではなく,人工心肺による直視下心臓内手術が次第に安全となるに従い,結局本来の弁附着部へ,全く正常の弁機能を有するものと置き換える,すなわち弁完全置換術の方向へ研究の焦点が向けられてきました.
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