Japanese
English
Bedside Teaching
輸血と肺機能
Effects of stored blood transfusion on pulmonary function
高折 益彦
1
Masuhiko Takaori
1
1川崎医科大学麻酔科
1Dept. of Anesthesiology, Kawasaki Medical School
pp.245-250
発行日 1978年3月15日
Published Date 1978/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203173
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ベトナム戦争の際外傷患者に非常に多くの肺機能障害が発生し,それによって多くの生命が失なわれた。その当時このような肺機能障害の発生の原因として種々の因子が上げられ,それによって"wet lung syndrome","posttraumatic lung syndrome", "shock lung", "posttransfusion lung syndrome", "respiratorsyndrome"等の名称が与えられた。しかし,終局的にある1つの原因にこれを結びつけることはできないまま現在では総称して"adult respiratory distress syndrome"として呼ぶようになったことは誰もが知るところである。
しかしここで輸血が1つの原因として考えられるに至ったのは1961年にSwank1)が保存血中に微小な血球屑(debris)が存在することをみとめ,これが肺に微小血栓症を発生せしめることがみとめられたからである2)。そしてこのような肺機能不全はかならずしも戦傷のごとき外傷の際の輸血例において発生するものでないこともみとめられてきた。われわれもかつて35歳の女性の手術にともなった輸血にその原因が求められるような肺機能不全の発生を経験したことがあった。
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