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はじめに
外科的救急患者や一般手術患者の麻酔中,患者の体液,電解質のバランスを適切に得ることの重要性は一般に認められているが,その実施面においては幾多の問題点があり,必ずしもこの面における患者管理が満足に行なわれているとは言い難く,そのために思わぬ合併症や事故の発生をみることがある。生体における水分の過不足がその生理機能に及ぼす面よりのみ考察するに,一般に過剰の方向に対しては大きな忍容範囲を有しているにもかかわらず,不足に対してはきわめて狭い忍容範囲しかもっていないことが認められている。そこで救急患者等でその患者の生体内水分バランスがまったく把握できていない場合の輸液について,われわれはその量において,多すぎるよりも少なすぎないように行なうことの方が安全であると判断し,そのような方針に従った輸液療法を現在の救急手術・一般手術のための麻酔時には行なっている。このような輸液方針に従って,術中の患者管理を行なって以来,(1)麻酔中,麻酔後における患者の循環動態がきわめて安定した状態に維持され,(2)術後における乏尿を起点とした腎障害の発生,(3)気道合併症,とくに喀痰排出困難の発生等が減少し,麻酔管理・術後管理をきわめて容易かつ円滑に行なえるようになった。しかし,一般にはいまだ大量輸液にともなう心不全,肺水腫の発生を危惧し,術中輸液量は極度に制限している。
Twenty mongrel dogs were anesthetized with pentobarbital and ventilated with 50% mixture of oxygen and nitrogen. Physiological saline or acetated Ringer's solution was infused in-travenously into the animals in an amount of 200ml/kg within 40 minutes and was repeat-ed four times in the same fashion until 800 ml/kg of the solution was infused totally within 190~260 minutes.
None of the experimental animals developed heart failure or pulmonary edema and they alived over 24 hours.
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