Japanese
English
Bedside Teaching
大量輸血に伴う肺微小血栓症
Pulmonary microembolism following massive transfusion of stored blood
高折 益彦
1
Masuhiko Takaori
1
1川崎医科大学麻酔科
1Dept. of Anesthesiology, Kawasaki Medical School
pp.1059-1064
発行日 1976年12月15日
Published Date 1976/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202992
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1961年Swankは保存血中の血液粘度を研究している間に血小板や白血球が血液全体の粘度に及ぼす影響を研究した。そしてこれら血液細胞成分が微小フィルターへ付着する様相を研究した論文を発表した1)。その中で一般の保存血(ACD血)は採血後5日目,すでに血小板や白血球が集りあった(aggregated),いわゆる血球屑(debris)を生じ,これが微小フィルターの目を詰らせるために,血液をフィルターを通して濾過させるために大きな力を要するようになると発表した。また同論文中に輸血にともなう一般には理解し難い異常反応の1つはこのようなdebrisによって生じた微小血栓症であろうと推論した。
一方"posttraumatic pulmonary insufficiency"なる用語は時として"wet lung syndrome"とか"shock lung"なる用語と同一にとり扱われているが,その成因について研究が進められていながら,いまだその解明がなされていない2)。しかし近年,これらの一部は先にSwankによって示唆が与えられている大量輸血後肺微小血栓症によって惹起されたものではないかと考えられるに至った。
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