巻頭言
心痛
春見 建一
1
1昭和大学藤が丘病院内科
pp.211
発行日 1978年3月15日
Published Date 1978/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203166
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近年本邦においても冠動脈疾患の増加が叫ばれ,本疾患の診断・治療面においても我が国のレベルは欧米のそれに追いつきつつある。
冠動脈疾患は内科的には,狭心症と心筋硬塞により代表され,その主症状は特異なる胸痛であり,医師国家試験の問題としてしばしば取りあげられている。狭心症のsymptomatologyは1768年Herberdenにはじまるとされており,当時は狭心症と心筋硬塞とは明確には分れておらず,心筋硬塞が独立した疾患として扱われるようになったのは1912年Herrick以来であるという。我が国に心筋硬塞の診断名があらわれるようになったのは,昭和に入ってからである。よくいわれる所であるが,冠動脈疾患の増加は診断法の発達により見かけ上増加したのではないかと。確かに剖検輯報でみても心筋硬塞の症例は増加しているので,冠動脈疾患の増加していることは事実であろう。
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