図解病態のしくみ 高血圧シリーズ・2
高血圧症における心筋・血管平滑筋の収縮異常
青木 久三
1
1名市大第2内科
pp.890-892
発行日 1977年6月10日
Published Date 1977/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207251
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心筋・血管平滑筋の収縮・弛緩とCa2+の動態
血圧の高さを決定する心臓と血管機能は,心筋・血管平滑筋自体の固有の自動調節系,および神経系,内分泌系,レニン・アンギオテンシン系,電解質系などの外来性調節系との協調ある制御によって,主として血圧と心拍数の変動を介して,恒常性のある最適な血液循環の維持を計っている.これらは心筋・血管平滑筋の筋収縮と弛緩によるが,その機序は松田らおよび江橋らによりとくにCa2+の動態との関連において漸次解明されつつある.すなわち,筋細胞膜の興奮(活動電位,脱分極)に伴って膜のCa2+透過性が高まり,細胞外から細胞内へCa2+が流入して(Ca2+channelへのCa2+増加とslow inward Ca2+Currentの発生)細胞内Ca2+濃度が増加する.また,膜の脱分極または細胞外から流入したCa2+によって筋小胞体(細胞内Ca2+貯蔵部位)からCa2+が遊離し,細胞内遊離Ca2+濃度が増加する.このようにして増加した細胞内Ca2+はトロポニンに結合し,アクチン・ミオシンATP系を活性化し,筋は収縮(緊張,短縮)する.
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