Japanese
English
原著
組織アルゴンガス分圧曲線の解析による局所血流測定の試み
A method for measurement of regional blood flow on analysis of argon gas wash-out curve in brain tissue
川上 俊爾
1
,
佐々木 征弘
1
,
笠井 敏雄
1
,
古元 嘉昭
1
,
妹尾 嘉昌
2
,
寺本 滋
2
,
小杉 功
3
,
宮田 怜
3
,
山口 佳晴
3
,
熊谷 紀元
4
,
相羽 正
4
Shunji Kawakami
1
1岡山大学温泉研究所
2岡山大学第2外科
3帝京大学麻酔科
4虎の門病院脳神経外科
1Institute for Thermal Spring Research, Okayama Univ.
pp.59-65
発行日 1977年1月15日
Published Date 1977/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203003
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最近,血液ガス,組織内ガス,呼気ガスなどが,質量分析の手法を用いて,高精度,安定に測定できるようになり,しかも測定はin vivoで連続的に同時に酸素,炭酸ガス,不活性ガス,麻酔ガスなどの分圧測定が可能である。特に組織内でのこれらのガス分圧を連続的に測定しうる点は,従来の方法ではなしえなかったので,組織レベルでの循環動態研究の新しい手法といえる1,2)。
この方法では任意の組織内に専用カテーテルを挿入することにより挿入部位の組織内ガス分圧が測定される。しかし組織内のガス分圧は諸々の因子により規定されている。たとえば,組織内の酸素ガス分圧は組織への酸素の供給量と組織での酸素消費量により規定されていると考えられる。酸素の供給量はその組織への局所血流量と動脈血の性状,動脈血酸素分圧,含有ヘモグロビン量などにより定まっている。組織での酸素消費量を直接測定する方法はなく,現在組織酸素分圧を経時的に測定しているが,この分圧の変化はこれらの諸因子3)(図1)の様様な変動を漠然と追求しているといわざるをえない。組織ガスの変動をより明確にとらえその意義を追求するためには,挿入局所の血流測定が少なくとも必要であると考えている。
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