呼と循ゼミナール
狭心症
友田 春夫
1
1東海大学医学部第一内科
pp.510
発行日 1976年6月15日
Published Date 1976/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202912
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最近冠動脈疾患症例に対し冠動脈再建手術,β遮断剤,カルシウム拮抗剤などによる治療法の進歩に見るべきものが多い。そこで今回は筆者が在米期間中約1,000例の症例につきtreadmillによるmaximal exercise testを行なった経験から得た印象の2,3を紹介してみたい。exercise textの方法はECGモニター下に,treadmillの勾配と速度を漸次増加しつつ最大運動能力を測定するものである1)。運動耐性能力すなわち最大運動持続時間と,冠動脈造影所見よりみた冠動脈の狭窄の程度(以下冠動脈狭窄度として各冠動脈枝における狭窄度を加算して表現する)との関係をプロットすると,大略図に示すような傾向がみられた。冠動脈の狭窄を認めるが運動負荷により狭心痛を起さない症例群と,狭心痛を起し運動を中止した症例群とに分けてみると,いずれも当然ながら冠動脈の狭窄度が進むに従い運動耐性が低下する。しかし狭心痛のため運動を中止した症例の示す曲線(X〜Z)は,狭心痛を認めなかった症例群のそれ(A〜E)に比し,両群の間には年齢,既往歴,狭窄の部位等には差が無いにもかかわらず低位置にある。
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