複雑な不整脈を呈した心サルコイドーシスの1例（続報）—ことに刺激伝導系の連続組織精査と不整脈との関連について

Conduction system in fatal myocardial sarcoidosis with variegated arrhythmias

　サルコイドーシスが心臓を侵すときは突然死を生じたり各種不整脈を発生することはよく知られており，われわれもすでに2例の剖検例について報告した^1,2）。本疾患に伴う不整脈としては心室性不整脈がよくみられるが，一方，本疾患が房室伝導障害を伴うことは臨床的にもまた一部剖検によっても報告されている^1〜5）。しかし刺激伝導系の詳細な連続組織検索の報告は未だきわめて少ない^5）。われわれは先に「複雑な不整脈を呈した心サルコイドーシスの1例」として報告したが^2），その症例について今回その心臓を再検し，Levの方法^6）で刺激伝導系を中心とする詳細な検索を行ったのでその結果を追加報告し，併せて生前みとめられた不整整との関係について検討を加える。

A 50 year old Japanese woman was well until the fall in 1970, when she suffered from frequent attacks with palpitation and anginal pain. The attacks gradually increased in frequency, and she was first admitted to Kyoto City Hospital on January 11, 1971. On admission the electrocardiogram revealed Q waves in leads II, III and aVF resembling an old inferior myocardial infarction.