提言
頻脈性不整脈および徐脈性不整脈ははたして正しい学術用語か?
兼本 成斌
1
,
岡田 了三
2
Nariaki Kanemoto
1
,
Ryozo Okada
2
1兼本内科循環器科クリニック
2順天堂大学
1Kanemoto Internal Medicine and Cardiovascular Clinic
2Juntendo University
pp.270-276
発行日 2015年3月15日
Published Date 2015/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205665
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
不整脈には多くの種類があり種々の分類方法がある.不整脈はギリシャ語のarrhythmiaに由来し,英語ではarrhythmiaが一般的であるが,dysrrhythmiaのほうがよいという意見もある.またランダムハウス英和辞典1)によると英語にはarhythmia,arythmia,arrythmiaなどの綴りもあると記されているが,医学用語としてはみた記憶がない.ドイツ語ではArrhythmieが一般的であるが心電図の教科書ではRhythmusstörungenもよく使われている.フランス語ではarythmie,スペイン語・ポルトガル語ではarritmia,中国語では脉律不斉あるいは心律不斉と2つの学術用語(術語)がある.日本語の不整脈という術語自体にも問題があるが,ここではそれには触れず,心拍数の多い不整脈と少ない不整脈について論じてみたい.
あえて引用しないが,これまでほとんどすべての医学雑誌や医学書籍および循環器学会のガイドラインでは,心電図診断として心拍数の多い不整脈は頻脈性不整脈,心拍数の少ない不整脈は徐脈性不整脈という術語が使用されている.しかし,これらははたして本当に正しい術語であろうか? 日常診療においても頻繁に使用され,これまで誰も疑問を挟まなかったこれらの術語について,あえて問題を提起したい.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.