綜説
DIC
前川 正
1
,
竹内 季雄
1
Tadashi Maekawa
1
,
Tokio Takeuchi
1
1群馬大学医学部第3内科学教室
13rd Dept. of Int. Med., School of Med., Gunma Univ.
pp.96-104
発行日 1976年2月15日
Published Date 1976/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202860
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生理的状態では血管内の血液は血管外に直接流出する(出血)ことなくしかも流動性を保っているが,血管外に出れば直ちに凝固する。このような生理的機能は凝固因子,血小板,線溶,血管系間の相互の動的なバランスの上に保持されている。種々の基礎疾患を背景に何らかの機転によってこのバランスが崩れ血管内で血液が凝固(血栓)することがある。しかしながら今日では生理的状態でも血管内で常に凝固過程が進行していると考えられており,これが血栓症に進展しないのは血管壁からのplasminogen activatorの放出による線溶の活性化,antithrombin等によるトロンビンの中和,肝やRES等の凝固活性物質やフィブリンの貪食並に代謝,血流によるこれらの排除と稀釈作用などの生体の防御機構が密接かつ迅速に反応する為と考えられる。即ち,血栓とは血流や血管凝固性とう血栓形成に関与すると考えられている因子間の動的バランスの崩壊により招来される血管内で血液が固化する状態と言い換えることができる。
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