増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅳ.術後合併症とその管理
8.そのほか
DIC
坂本 善郎
1
Yoshiro Sakamoto
1
1順天堂大学医学部泌尿器科
pp.337-340
発行日 2001年3月30日
Published Date 2001/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903252
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1 はじめに
DIC(disseminated intravascular coagulation:播種性血管内凝固)は,血管内で凝固系が異常活性化されることにより,微小血管内に多数の血栓形成が生じるため,血小板と凝固因子の消費・減少による出血傾向と微小血栓による多臓器の循環・機能不全(MOF)の病態をきたす症候群である。泌尿器科手術の術後合併症としてはDICは必ずしも多い病態ではなく,むしろ比較的よくみられるのは,尿路感染症に起因する敗血症,ショックを契機とする場合や前立腺癌を代表とする悪性疾患が増悪した場合やその治療中に発症する場合である1)。
一般に外科疾患における術後DICの要因は,(1)基礎疾患である悪性腫瘍に起因するもの,(2)術中・術後に生じた大量出血に起因するもの,(3)重症感染症に起因するもの,などが考えられる。これらについて病因・病態を解説し,泌尿器科手術の術後合併症としてのDICに言及する。
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