今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
4.妊娠・出産にかかわる疾患の治療と注意点
[産褥] 産褥熱
鴨下 詠美
1
,
天野 完
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.651-653
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100306
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1 診療の概要
産褥熱とは,分娩終了24時間以降,産褥10日以内に,2日以上,38℃以上の発熱が持続する場合と定義されている(日産婦用語集).感染が分娩により生じた損傷部位に限局した限局性産褥熱と,敗血症のように感染が拡大した重篤な全身性産褥熱に大別される.産褥期の乳腺炎,腎盂腎炎などの偶発疾患による感染,発熱との鑑別が不可能なことも多い.
敗血症をきたすと,エンドトキシン,エキソトキシンなどの毒素はショックやDICを引き起こし,多量のサイトカインが産生,放出され,全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome : SIRS)から多臓器不全に陥り高率に死の転帰をとる(図1).
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