今月の主題 心筋症—その展望
原因のあいまいな心筋症
周産期(産褥性)心筋症
小出 直
1
,
加藤 彰一
2
1東大・第2内科
2東大・内科
pp.33-35
発行日 1979年1月10日
Published Date 1979/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215712
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周産期(産褥性)心筋症とは?
女性のうっ血型心筋症には分娩前後に突発するものが少なくない.しかも,その経過はしばしば亜急性で,普通のうっ血型心筋症の多くが慢性の経過をとるのとは異なった印象がある1).したがって,19世紀以来,これを妊娠・分娩に関連して生ずる特異な心疾患とする考え方があり,現在は周産期(peripartal),あるいは産褥性(postpartal,puerperal)心筋症の名で,特発性心筋症中の特異型として扱われることが多い.
診断基準は,たとえば,①それまで心疾患の徴候のなかった女性に,②分娩前1ヵ月~分娩後5ヵ月間に心不全が初発し,かつ,③心不全の原因が不明なもの,とされる2).ただし,妊娠後期や分娩直後の1週間には,それまで見逃されていた心筋症が,妊娠・分娩の負荷に伴って顕在化することも考えられるので,これを除外するために②の項目を,“分娩後2~20週の間に発症した心筋症”とする診断基準もある3,5)
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