呼と循ゼミナール
IHSS・HOCM・そしてASH
小出 直
1
1東京大学第2内科
pp.148
発行日 1975年2月15日
Published Date 1975/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202725
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IHSS (idiopathic hypertrophic subaortic stenosis,特発性肥大性大動脈弁下狭窄),ならびに類縁病態に対しては,従来英語だけでも十指に余る異名がある。これらの異名は,この病態の本質についての考え方の相違と密接に関連していることに注意を要する。この意味で,最近一部の学派によって,HOCM (hypertrophic obstructive cardiomyopathy,肥大閉塞性心筋症),あるいはASH (asymmetric septal hypertrophy,非対称性中隔肥大)の呼称が強力に主張されていることは興味深く,その背景を簡単に解説する。
1957年,Brockが初めてこの病態を報告したときの題名は,"Functional obstruction of the left vertricle"で,副題として"Acquired aortic subvalvular stenosis"とつけられていた。彼が"acquired"とした理由は,持続性の高血圧症に伴なう左室の求心性肥大が,左室流出路狭窄の原因と考えられたからであった。
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