呼と循ゼミナール
呼吸不全という概念
長野 準
1
1国立療養所南福岡病院
pp.18
発行日 1975年1月15日
Published Date 1975/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202702
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疾病の診断と治療は,従来どちらかというと形態を中心にその修復を目的として行われることが多かった。最近では生体の機能を中心とする診断なり治療の考え方が,各臓器毎に行われるようになって来た。それは障害の医学,不全の医学として各臓器毎に次第に独立した分野になろうとしている。呼吸器については,この臓器が人間の生命に直接かかわる機能を持つものであるから,特に呼吸不全として各方面で取り上げられるようになった。
これについて先鞭をつけたのが,1959年のThorax誌上に発表されたCiba guest symposium1)である。この"terminology, definition, and classification of chronic pulmonary emphysema and related conditions"は,たしかに専門的立場から定義づけた文献として世界的に数少ないものである。それ以来わが国においても数数の引用が行われて注目されて来た。残念なことは原文の冒頭に,"びまん性閉塞性肺疾患の症例においては"という但し書きに注意しない引用が多いことと,英米語に過度に忠実な国民性からか,これに対応する日本語を求め過ぎたことによって,多少の混乱を招いて来た。
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