呼と循ゼミナール
心尖部収縮期駆出性雑音
中村 芳郎
1
1慶応義塾大学内科
pp.906
発行日 1974年12月15日
Published Date 1974/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202693
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心尖部に聴かれる収縮期雑音の非常に多くが原因を僧帽弁閉鎖不全に帰せられていた時代から,ejection typeの雑音とregurgitant typeのそれを分けて原因を考える時代を過ぎてみると,再び心尖部雑音の多くに僧帽弁閉鎖不全を原因として考えるようになってきた。かつては機能性雑音とされていたlate systolic murmurが,おそらくpericardial friction rubの名残りのものもあるのではあろうが,僧帽弁閉鎖不全によるとされ,特にechocardiogramの所見からよく説明される例を見ると,僧帽弁の関与を信じるようになる。papillary muscledysfunctionの場合は,ejection typeの例が示されて,雑音の形態による分類ではregurgitationかどうかは言えないことを明かにしてくれた。これらは1960年台の進歩であり,すでに教科書的な常識となった。
しかし,臨床的に最もよく出会う心尖部収縮期雑音は僧帽弁閉鎖不全によるものではないに違いない。若い医師達が気にして病名を何かつけるべきかと困る,わずかな心尖部収縮期雑音はどのようにあつかわれているのだろうか?
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