Japanese
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講座
急性心筋硬塞の心機能
Cardiac Function in Acute Myocardial Infarction
中田 八洲郎
1
,
酒井 克彦
1
Yasuro Nakata
1
,
Katsuhiko Sakai
1
1順天堂大学循環器内科
1Dept. of Int. Med., Cardiology, Juntendo Univ.
pp.517-524
発行日 1973年6月15日
Published Date 1973/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202499
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C. C. U. の発達に伴い急性心筋硬塞における不整脈死は著しく減少したが,全体としての死亡率は依然として高い。その主因をなすものは心筋硬塞に伴う心機能の低下による心不全であり,心原性ショックである。特に急性心筋硬塞により心原性ショックの状態に陥った場合には,その生存率は極めて低く15%以下とされている。そこでこのような例における死亡率を低下せしめるべく多くの基礎的ならびに臨床的研究がなされているがまだ完全にはその病態が解明されていないのが現状である。その理由の一つとして,心機能をあらわす各種パラメーターのうち,いくつかのものは心筋硬塞特にその急性期においては,その測定が困難であり,他方,実験的には,動物で急性に冠動脈を閉塞した場合をヒトにおける急性心筋硬塞と同等に考えるには多くの問題がある点が挙げられる。しかしながら心筋硬塞に伴う循環動態の変化は古くから興味がもたれており,臨床的には,初期においては心筋硬塞患者の心機能は臨床症状および胸部レ線像のうから推定されていた。近年に至り,色素希釈法による心拍出量の測定や右心カテーテル法による右心系の圧測定が可能となりかなりの心機能を評価するindexが得られるようになったものの,心筋硬塞は主として左心室の疾患であり,心筋硬塞によって生じた循環機能障害を評価するには直接左心室の情報を得る必要がある。
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