巻頭言
Golden RuleとMechanocardiogram
木川田 隆一
1
1北里大学医学部内科学教室
pp.183
発行日 1972年3月15日
Published Date 1972/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202357
- 有料閲覧
- 文献概要
有名なH. A. Schroederのモノグラフ"Hypertensive Disease Causes and Control"の末尾に,治療におけるThe Golden Ruleなるものが挙げられている。実に平凡な内容ではあるが,はじめて目にふれた時,入局したての西も東もわからぬ新米ドクターであった私の胸を強く打った言葉の一つとして,今なお記憶に残っている。すなわち,"Do not do anything to a patient that you would not like to have done to you."これは,何も,検査や治療をおこなうさいに,消極的になることを意味しない。おそらく,患者のために,必要な検査と処置をもれなく行なうことも,言外に含まれているのであろう。
私は,千葉大学斎藤内科学教室に学んで,非観血的な循環機能検査法に慣れ親しんだ。最近,U. C. DavisのD. T. Masonをはじめとして,心筋収縮性へのアプローチが心カテーテルを用いた観血的手技によって試みられている時,かようなpolygraphicにとったいろいろな脈波の分析,すなわちMechanocardiogramによる手法は,すでに時代遅れであるかのような印象を与えるかも知れない。私は,何も,観血的な手技を毛嫌いしているわけではない。
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.