巻頭言
計算機による病名診断の諸問題
阿部 善右衛門
1
1北海道大学応用電気研究所
pp.1017
発行日 1969年12月15日
Published Date 1969/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202092
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計算機による病名診断がその方面の先覚者の手によって取り上げられたのは,ほぼ二昔前のことであるが,電子計算機の実用化とともに関連研究者の話題に上ったのは,一昔前のことである。その当時はデリケートな精神状態にある患者の病名診断などは,患者の精神状態の分らない計算機で当るものか,などという論議が,医師の側からはもちろん,工学者の側からさえ出された。
このような論議に対する考え方は色々あろうが,たとえば,電子部品の故障率の推移と,人間の死亡率曲線の傾向はきわめてよく似ていて,代表的な三つの期間,すなわち死亡率の高くかつ急減する乳幼児期,死亡率が低くかつあまり変らない小青壮年期,および死亡率が急増する老年期のおのおのにおける死亡原因も,部品のそれと酷似する(本誌昭和38年8月号巻頭言参照)。
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