ホスピタルトピックス 診療
電子計算機による傷病の診断
S
pp.92-93
発行日 1966年7月1日
Published Date 1966/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202893
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数年前から傷病の診断や治療方針の決定に電子計算機を使用する研究がさかんに行なわれるようになったが,とくにこの方面の研究が宇宙医学の推進などの関係からもっとも進んでいるアメリカ合衆国をみると,ニューヨークのベルビュー・ホスピタルで血液病の鑑別診断のさいデータの相関を調べて診断をおこなっているし,デトロイトのラファエル・クリニックでは精神病患者の大量の臨床データを大形の電子計算機に記憶させて診断に利用している。またペンシルバニア大学の電子計算機センターでは,麻酔の方程式による麻酔の自動化に電子計算機を利用しているし,ニューヨークのロチェスタ大学では有名な学者ラステイド博士が,診断方法の教育に電子計算機を応用して注目をあつめている。このほか,生理学や基礎医学の研究に用いられている例はきわめて多く,アメリカ合衆国ではすでに医学研究専門用に製作された電子計算機だけでも600台を越えている。IBMでは数十人におよぶ医学専門のアナリストによって電子計算機の医学的応用を研究しているが,尤(ゆう)度による診断計算を大形電子計算機でおこなった例や,X線フィルムの解析,ガン診断における膨大な量におよぶ病症統計のほか,病院経営のための事務機械化システムの完成もいそいでいる。
一般に病気の概念は,数学的に考えると,その病名に対して1つの症状群の関数として存在している。
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