Japanese
English
綜説
換気の中枢調節
Central Nervous Mechanism in Regulation of Ventilation
本田 良行
1
Yoshiyuki Honda
1
1金沢大学医学部第一生理
11st Department of Physiology, Kanazawa University School of Medicine
pp.360-375
発行日 1968年5月15日
Published Date 1968/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201896
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はじめに
換気の調節は単なる反射性機構の集積としてではなく,生体における行動の調整ともいう概念によって把握されるべき事柄のように思われる1)。肺胞炭酸張力のすぐれた恒當性は,生体がCO2の排出を仲介として換気量と物質代謝の要求とをたくみに連繋させていることを推察させる。しかしながら,少なくとも安静時においてPao2,Paco2およびおそらくpHaは呼吸刺激をおこす程の変化を示さない2)。すなわち,これらの化学刺激と呼吸系との間に成立する単純な刺激—反応関係だけによって換気量の調節は説明されうるものではない。中枢の呼吸調節機構は精巧かつ効率的であって,全身から得られる情報にもとづいて時々刻々生体の必要とする換気量の調整が行なわれているものであろう。本稿ではこれらの機構について,その所在と定量的役割について二,三の知見を述べたい。
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