Japanese
English
綜説
無脾症候群—22例の解剖学的,症候学的検討
Asplenia-Clinical and Anatomical Studies of our Twenty-two Cases
中島 一己
1
,
今野 草二
1
,
五味 春人
1
,
平塚 博男
1
,
高尾 篤良
2
,
三森 重和
2
,
安藤 正彦
2
,
高山 翠
2
,
重田 帝子
3
Kazumi Nakajima
1
,
Soji Konno
1
,
Haruto Gomi
1
,
Hiroo Hiratsuka
1
,
Atsuyoshi Takao
2
,
Shjgekazu Mimori
2
,
Masahiko Ando
2
,
Midori Takayama
2
,
Akiko Shigeta
3
1東京女子医科大学日本心臓血圧研究所外科
2東京女子医科大学日本心臓血圧研究所小児科
3東京女子医科大学日本心臓血圧研究所放科線科
1Department of Surgery, The Japan Heart Institute and Hospital of Tokyo Womens' Medical College
2Departmeht of Pediatrics, The Japan Heart Institute and Hospital of Tokyo Womens' Medical College
3Department of Radiology, The Japan Heart Institute and Hospital of Tokyo Womens' Medical College
pp.287-293
発行日 1968年4月15日
Published Date 1968/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201885
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はじめに
近年心臓外科の発達は,診断技術の進歩と相まって従来手術が不可能と思われていた疾患に対しても積極的な態度を採りうるようになった。しかし,それにもかかわらず現時点では外科手術の適応外にある疾患も少なくない。無脾症候群もその一つである。本症候群は先天性脾臓発育不全に加えて複雑なる心奇型,体および肺静脈系の還流異常,胸腹部臓器の位置異常などを合併する失天性奇型である。
最初の記載は1740年 Pohlius1)によって行なわれ,次いで1826年Martin & Breschet2)が「Absense of the spleen associated with partial situs invcrsus and congenital malformation of the heart in an infant」と報告して以来,1961年まで文献上約100例3),1964年まで約140例4)の報告が見られる。本邦では三輪ら(明41年)の発表5)が最初で,1965年まで10例に満たぬ発表6)〜14)があるのみであり,その多くは単独報告例である。われわれは1960年1月より1967年2月まで22例の本症候群を経験したのでその解剖学的,臨床的特異性を浮き彫りにし,あわせて文献的考察を加えたいと思う。
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