Japanese
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綜説
肺硬塞症について
Pulmonary Embolism
村尾 誠
1
,
長谷川 淳
1
Makoto Murao
1
,
Hiroshi Hasegawa
1
1北海道大学医学部第一内科
11st Department of Internal Medicine, School of Medicine, Hokkaido University
pp.280-286
発行日 1968年4月15日
Published Date 1968/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201884
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緒言
肺塞栓症の診断はしばしば困難であり,無症状に経過し,肺硬塞症の発症とともにレ線学的に診断可能となる場合が多いため,臨床的には両者を包括して診断することが通例である。しかし実験的にもVirchowが肺動脈を結紮しても,いわゆる赤色硬塞症を作りえなかったと述べているように,塞栓症は必ずしも硬塞症を合併しない。硬塞症は解剖学的に一種の動脈のみによって支配された臓器に比較して,二種の動脈によって支配された臓器の方が出来にくいと考えられており,肺は後者に属する。肺硬塞成立のための病態生理解明を目的とした実験の数はおびただしいが,今なお不明の問題も多く,しかも臨床上欧米では発生頻度がきわめて高く,わが国でも増加の傾向にある現時点において,一日も早い解明が待たれている。
本文では,肺硬塞症に関する臨床および病態生理などを中心に最近までの研究成果について紹介したい。
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