Japanese
English
ジュニアコース 検査データのみかたと考えかた(5)
呼吸系におけるいわゆる定量化に関する諸問題(その2)
Problems Concerning the Quantitative Estimation in the Respiratory System (Part 2)
中村 隆
1
Takashi Nakamura
1
1東北大学医学部第一内科
11 st Department of Internal Medicine, School of Medicine, Tohoku University
pp.1079-1083
発行日 1967年12月15日
Published Date 1967/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201852
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「智に働けば角が立つ。情にさおさせば流される。意地を通せば窮屈だ。とかく人の世は住みにくい」と漱石がいうように確かにこの現代に生きて行くことは厳しい。が,われわれとて喜怒哀楽の波に流され,時にはもまれながらも"息づき"続げ,生き続けてはいる。が,この"息づき"の恒常性も心理的には刻一刻と変動する感情の流れと理性の流れとの交錯する絶えざる葛藤によって初めて可能とされ,また生理学的には生命現象の絶えざる適応のメカニズムによって初めて可能とされている。
しかしなんといっても"凡人の悲しさ"で喜怒哀楽の波とともにわれわれの"息づき"も時には篠突く雨のごとくはげしく,時には夜来の雨のごとくしめやかに,いろいろと変動し,その恒常性の破綻が招来される。また時には内存する生命現象の異常あるいは環境の変動に伴う適応のメカニズムの質的,あるいは量的"ずれ"によっても"息づき"の恒常性の破綻が招来されること多い。このように"息づき"の恒常性,あるいはその変動こそわれわれが"生きていること"の最大の総合された表現形式で,ここにこそ生命現象における呼吸のもつ意義があると考える。
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