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講座
呼吸の比較生理学(1)
Comparative Physiology of Respiration (1)
小林 庄一
1
Syôiti Kobayasi
1
1新潟大学医学部第二生理
12nd Department of Physiology, Niigata University School of Medicine
pp.943-950
発行日 1967年11月15日
Published Date 1967/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201838
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はじめに
動物の生命は細胞の酸化的エネルギー代謝によって維持され,その最終産物はCO2と水である。このためには細胞膜を通してO2の内向き輸送が行なわれなければならない。一方,CO2は外向きに運ばれ,ここにO2とCO2の交換が行なわれる。この過程は物理的拡散による。多細胞動物では生物体の内外をしきる上皮を介する交換が行なわれる。拡散は水を介して行なわれるから,生物は本来水中になければならない。もし空気中にある場合には,なんらかの方法で細胞は水中に保たれ,少なくとも乾燥が防がれることが必要である。
環境O2張力(Penv.O2)が0.2気圧のとき,ほぼ球面の表面をもつ動物が,拡散だけでそのO2必要量をまかなえる限界の大きさは直径1mmである4)。もし,直径が1cmであるなら,20気圧以上のPenv.O2を要することになる。拡散の量を増し,かつ円滑に行なうためには拡散面積が大きいこと,拡散面の内外のO2,CO2の張力差を大きくすること,拡散距離を小さくすることなどが要求される。
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