装置と方法
あなたはまちがってはいませんか?III—酸素飽和度
藤本 淳
1
1大阪府立成人病センター
pp.507-511
発行日 1967年6月15日
Published Date 1967/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201783
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はじめに
酸素飽和度は肺機能を評価する一つの指標として,あるいは血液の酸素運搬能を知るために用いられている。これは大気圧下にある人間では,酸素運搬が主として血色素(ヘモグロビン)によって行なわれているからである。血液の酸素含有は血漿や血球中の液体成分に溶解して存在するものと,ヘモグロビンと結合している分があるが,1気圧下では酸素は155mmHgで,肺胞気では100mmHgとなり,肺胞毛細管の血液では95mmHgとなっている。この条件下では,溶解酸素は一定の血液でわずかに3.0mlで,これのみで毎分250mlの酸素消費を果たそうとすると,132lという心拍出量を必要とすることになる。最近は高圧環境を利用して酸素を投与することが試みられているが,これは溶解酸素を多くして酸素需要をまかなおうとするもので,このさいには酸素飽和度は指標とならない。しかし大気圧下での肺機能評価では,PHや温度などの因子を含めた酸素飽和度の表現を用いることによって比較が容易であり,障害度の判定も容易となる点から利用されるべきものである。
酸素飽和度は血液中のヘモグロビンがどれだけ酸素と結合しているかを示す指標であって,溶解酸素に関与していない点に注意しなければならない。
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