綜説
Relaxation Curve
金野 公郎
1
Kimio Konno
1
1東北大学医学部中村内科
1The 1st Department of Internal Medicine, School of Medicine, Tohoku University
pp.5-11
発行日 1967年1月15日
Published Date 1967/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201724
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はじめに
relaxation curveの把握にはchest wallの概念の理解が基盤となっていることは著者がすでに本誌1)(14巻,6号)に記載したごとくである。したがって今回は,chest wallの概念がすでに理解されたものとしてできるだけ前誌とoverlapしないように以下の解説を進めることにする。
さて呼吸筋はchest wallの主要な構成要素の一つであり,言い換えればchest wallはそれ自体にgene—ratorを内存するわけである。したがってchest wallの換気器械としての特性の把握にはどうしても呼吸筋の弛緩,いわゆるrelaxationが必要条件となる。なぜなら呼吸筋が活動している状態では,たとえば安静換気時,chest wallの変形から招来される個有の内存された弾性力にもとづく弾性抵抗および変形のspeedから招来される気流抵抗はchest wallの構成要素の一つである呼吸筋力の一部によってすべてまかなわれ,他の一部によって肺の弾性抵抗および気流抵抗(肺のmecha—nical impedance)がまかなわれ,この力のみは周知のごとく胸腔内圧の変動として把握される。がchest wallに関しては呼吸筋が活動している状態では上述の理由からchest wallのmechanical impedanceにうちかつ力を反映する場はない。
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