Japanese
English
綜説
大動脈炎症候群と高安大西動脈炎—自己免疫疾患としての考え方
Aortitis Syndrome and Takayasu-Onishi Arteritis:Interpretation as an Autoimmune Disease
上田 英雄
1
Hideo Ueda
1
1東京大学医学部上田内科
1The 2nd Dept. of Medicine, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.857-860
発行日 1966年10月15日
Published Date 1966/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201670
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
高安右人(みぎと)(19081)による特殊眼底病変を主徴とする高安病(眼疾患として)の発表とそれに続いて行なわれた大西克知(よしあきら)の橈骨脈拍欠如の追加発表は,鹿児島注連吉(しめきち)の第2の症例追加を含めて,原因不明の特殊動脈炎の存在を明らかにした。東洋に比較的多く,その他に北欧にも観察(Ask-Upmark2)されているこの原因不明の動脈炎は高安動脈炎と呼ぶよりも高安・大西・鹿児島動脈炎,少なくとも高安・大西動脈炎と呼ぶのが穏当と考えられる。筆者は昭和41年8月18日に長崎市グランドホテルで開かれた長崎市医師会講演会において大動脈炎症候群の端話をしたが,来席された長崎大学眼科学広瀬金之助名誉教授と討諭する機会を得て故大西教授の消息を知り,教えられるところが多かったのである。同時に筆者自身の特殊動脈炎とそれにより現われる臨床疾患名および症候群の解釈に多少の変遷があり誤解もあるので,本稿においてその経緯と現在ほぼ固定した考え方を説明したい。さらに教室の斉藤嘉美や伊藤厳・杉浦昌也・諸岡成徳らの研究により活動期の大動脈炎症候群(高安大西動脈炎)の患者血清中に螢光抗体直接法により抗人動脈抗体を証明することができたので,大動脈炎症候群は自己抗体を発生する自己免疫疾患と推定するようになった。本稿にこの成績を含めて記述する。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.