増刊号 Common Disease 200の治療戦略
循環器疾患
大動脈炎症候群(脈なし病・高安動脈炎)
松﨑 益徳
1
,
山川 克敏
1
1山口大学医学部第2内科
pp.91-93
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903997
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疾患概念と病態
大動脈炎症候群は,大動脈およびその主要分枝,肺動脈に起こる原因不明の非特異的動脈炎である.1908年,眼科医の高安による報告以来,脈なし病とも呼ばれたが,近年,上田らにより大動脈炎症候群という単一病名により総括されることとなった.しかし,現在でも国際的にはTakayasu'sarteritisが最も一般的な病名として用いられている.
本症は慢性疾患であり,動脈病変が長期かつ広範囲に起こるため,多種多様の臓器障害が発症し,個々の臨床症候は極めて多彩である(表1).本症の病態は,①全身症状を主体とするprepulselessphase,②動脈炎による血管病変を主体とするpulselessあるいはvessel inflammatory phase,③主要動脈の非活動型狭窄閉塞病変および高血圧を呈するchronic occlusive phase,に分けられるが1),治療戦略上は①②を急性期,③を慢性安定期と分類している.
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