Japanese
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診療指針
マニトールの使用法
The Use of Mannitol
稲田 豊
1
Yutaka Inada
1
1昭和大学医学部麻酔学教室
1Dept. of Anesthesiology, School of Medicine, Showa University.
pp.357-363
発行日 1965年5月15日
Published Date 1965/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201446
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Mannitolは体内に注入した場合,細胞外液には移行するが,細胞内液には移行しないので細胞外液量の測定に用いられてきた1〜3)。また,生体内においてほとんどが腎糸球体から濾過され,尿細管において再吸収を受けずに排泄されるので,糸球体濾過値4)の測定に早くから用いられており,Mannitol clearanceは腎血漿流量の指標として役立つ。1941年にNewburgh & Curtisが急性腎炎による浮腫にMannitolを用い,その効果を認めており,また,前立腺その他の尿道系手術において尿道灌流液として用いられていた。犬に大量のmethemoglobinを負荷すると急性尿細管壊死に類似した腎臓の変化がひきおこされ,この病変はPitressinの作用下において増強されるが,methemoglobin負荷後早期にMannitolを投与すると腎病変の発生が阻止されることをOw—en5)が発表し,術後の乏尿,無尿の予防および治療上Mannitolが有効なことをBarry6)が証明して以来,この方面における応用が次第に広くなりつつあり,腎障害を有する症例でも腎組織へ影響を与えることのない利尿剤として重視されている。
脳圧上昇の原因は,脳外傷,脳腫瘍,脳手術などいろいろであるが,いずれにしても,脳圧亢進は側頭葉ヘルニア,小脳扁桃ヘルニアなどをひきおこし,全身症状を悪化させるのみならず,ついには延髄機能までも障害するに到る。
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