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講座
呼吸困難
Dyspnea, its Physiological Interpretation.
中村 隆
1
Takashi Nakamura
1
1東北大学医学部内科
1Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Tohoku University.
pp.565-569
発行日 1964年8月15日
Published Date 1964/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201347
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I.序論
極めて屡々遭遇する為,日常の臨床において気軽に使い慣れてる呼吸困難なる症状の概念,定義,或いは発生機構などについて従来諸説あるが,今日必ずしも充分明確ではない。しかも心肺疾患を主とするが多くの疾患において多彩な出現の仕方をし,その客観的評価にも今日満足すべき指標がない。
私は呼吸困難とは,呼吸の変調が意識内に捉えられ,多くは不快感などを伴う症状と解している。呼吸の変調を肺換気,肺循環等の調節機構を形成している閉鎖回路フィードバック系の破綻によると考える時,呼吸困難の発生機序を明らかにする為にはまず換気循環等調節機構の全ての経路にわたる解明が前提となる。今日呼吸器械としての肺生理学は著しい進歩をみているとは言え,これを制御し調整する中枢並びに中枢と肺との帰還回路については余りにも未開な分野が多い,ことに意識との関連については,全く無知とさえ言える。
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