巻頭言
環境条件の拡大の活用
大島 正光
1
1東京大学医学部医用電子研究施設
pp.467
発行日 1964年7月15日
Published Date 1964/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201334
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人間をとりまく環境条件が,呼吸にそして循環に影響をおよぼすことの比較的早いことはよく知られていることである。勿論,環境条件の種類にもよることであるが,呼吸と循環の動態と生理は種々の環境条件を与えてその反応をみることによつて明かになる部分がかなり多いものである。従来も負荷試験として種々のストレスが与えられているが,環境条件は技術の進歩にともなつてバライティーに富んでいるといえる。それを低圧という条件をとつて説明してみよう。総て負荷条件はその程度と時間の長さとの二つの因子が関係するが,低圧の場合にはその変化の速度の要素がもう一つ入つてくる。そして更にこれに酸素濃度,炭酸ガス濃度などのガスの組織の要素も入つてくることを考えると条件の組み合わせの数はずいぶん増加してくる。しかもこの条件の逆の方向をとるならば高圧についても同じだけのバライティーを考えることができる。時間にしても無限に近く長時日ある条件に滞在している人間もつかむことができるし,また極めて短時間の負荷も可能である。このように考えてゆくと環境条件の幅の広さ,条件の複合などは昔と比較にならない程の多様性をもつてくることになる。このような種々の環境条件を人体に負荷してみることによつて,今までいくつかの点についての資料しか得られなかつたものが,線についての資料も得ることができるし,また立体的な3次元的な資料をも得ることができるようになつてきている。
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