特集 術前ワークアップマニュアル—入院から手術当日までの患者管理
Ⅱ.特殊な病態の術前患者管理
2.呼吸器系
慢性気管支炎
吉田 治
1
,
呉屋 朝幸
1
,
輿石 義彦
1
,
柳田 修
1
,
小林 ゆかり
1
1杏林大学医学部第2外科
pp.338-339
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902508
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慢性気管支炎の病態
ここでは慢性気管支炎を[肺,気管支,上気道の限局性病巣によらないで起こる慢性持続性の痰を伴う咳を示す疾患]と単純に割り切ることにする.外科の術前・術後管理あるいは麻酔管理上wetcaseとして問題になる疾患群とする.この疾患群では気道の粘液分泌構造の肥大増生が起こり,粘液性分泌物が過剰に生成されることを基本病像とする.したがって,本疾患患者は痰を長期間にわたって喀出し,多くの場合は痰を喀出するために持続的に咳嗽を続ける.病期が進行すれば,肺気腫のように持続性の息切れが出現し,急性増悪期には喘息様の症状を呈するようになる.胸部X線検査では肺紋理の増強を見るが,異常所見を指摘できないことも多い.細菌感染は二次的であるが術後肺炎対策上は術前の細菌検査は必須である.インフルエンザ菌と肺炎球菌が多いとされる.
鑑別すべき疾患としては,①気管支喘息,②肺気腫,③気管支拡張症がある.
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