Japanese
English
方法と装置
全肺大切片標本作製法
The Method of the Lung Macrosection.
清水 興一
1
Koichi Shimizu
1
1慶応大学医学部病理学教室
1Dept. of Pathology, School of Medicine, Keio University.
pp.937-942
発行日 1963年12月15日
Published Date 1963/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201273
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I.緒言
近年気管支肺の生化学的並びに生理学的研究の著しい進歩,殊にそれらの方法の臨床面への応用により肺疾患就中慢性肺気腫を中心にして多くの病態生理学知見が生まれている。これに伴つて各種肺疾患の再編成が行なわれており,その形態学的な裏付けが要求されている。このためには気管支肺胞系及び血管系の光学顕微鏡的あるいは電子顕微鏡的検討も勿論必要であるが,現在の肺機能検査法は肺全体あるいは片側の肺を機能単位として検索しており,当然その所見の解析には肺葉全体における病態のあり方を中心にして先ず研究を進めるべきであろう。即ち実体顕微鏡等の使用を含めての肉眼的及び立体的検討が肺機能の形態学的解析に大きい役割りを果たすであろう。このような立場において,私は一つの有用な方法として肺の大切片標本を推奨するものである。以下その作製方法を紹介したい。
肺の大切片標本はGough, J. and Went—worth, J.E.1)2)(1948,1949)が塵肺症の研究に利用したのが嚆矢である。我が国では佐野9)10)(昭32)が夙にこの方法を珪肺症を初め多数の塵肺症に用いて多くの業績を挙げている。佐野8)はGou—gh等の原法を薄切等で多くの点で改良し,又各種の大切片染色法を加え,この方法を発展させている。
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