特集 酵素検査法
病理
切片作製法
下里 幸雄
1
,
小出 勉
1
,
池田 みな子
1
1国立がんセンター第3病理室
pp.1304-1308
発行日 1971年12月1日
Published Date 1971/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907426
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酵素検査法の1つとしての組織化学的方法は,組織あるいは細胞内での酵素の局在を知るために用いられる.そこで,すぐれたよみやすい標本を作るために,きれいな切片を作製することが正しい組織化学的検査の第一歩といえよう.病理診断において.不適当な標本が誤診のもととなるように,酵素組織化学的検査でも不良な標本は誤った結論へ導く1つの大きな原因ともなろう.酵素組織化学のための切片作製法そのものは,通常,病理診断に用いる凍結切片作製法と大差はないが,酵素を扱う以上,常に酵素活性の保存に留意しつつ組織の処理をしなければならない.
酵素の種類あるいは検査の日的に応じて,生の組織を用いるか,固定した組織を用いるか,あるいは真空凍結乾燥を行なった組織を用いるかが決まってくる.また光顕レベルでの所見で十分なのか,さらに超微構造との関係を知るべく電顕的方法を用いるべきなのかによって切片作製法も当然異なってくる.凍結乾燥試料の薄切法は,パラフィン切片作製法にほぼ準ずるので省略し,ここでは光顕用の凍結切片作製に重点をおいて述べてみよう.
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