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講座
CO2代謝 (2)組織(赤血球とCO2代謝)
CO2 Transport and CO2 Elimination. (2) Tissue
望月 政司
1
Masaji Mochizuki
1
1北海道大学応用電気研究所
1Research Institute of Applied Electricity, Hokkaido University.
pp.649-661
発行日 1963年9月15日
Published Date 1963/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201244
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I.はじめに
赤血球の酸素運搬に対して持つ大きな役割は,ヘモグロビン(Hb)の機能と合せて一般によく知られている。しかし,赤血球がCO2の輸送に対しても同様に重要な働きがあることについては比較的等閑視されている嫌いがある。赤血球がCO2の輸送に対して持つている役割を項目別に分けるとほぼ次の4項目に集約されると思われる。
1)Carbonic anhydrase(CO2水和および脱水酵素)の存在
2)Hbのもつ緩衝作用
3)Bohr (またはHaldane)効果
4)Carbamino複合体の生成
炭酸塩として末梢から肺へと輸送される量は赤血球内よりむしろ血漿の方が多い。しかし,赤血球がなければCO2は炭酸塩となつて血漿によつて運ばれることは,ほとんど起り得ない。また血液のpHは絶えずある一定の範囲内の値に維持されている,これはHb蛋白質の緩衝作用buffer effectによるもので,Hbがなければ,CO2の水和反応の結果生ずる炭酸の作用のため,pHは必ず酸性に傾く。
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