症例
Pickwickian Syndrome—症例報告と考察
一之沢 昭夫
1
,
外村 舜治
1
,
山林 一
1
,
藤本 淳
1
,
高橋 久雄
1
Akio Ichinosawa
1
,
Shunji Tonomura
1
,
Hajime Yamabayashi
1
,
Kiyoshi Fujimoto
1
,
Hisao Takahashi
1
1大阪成人病センター
1The Center for Adult Diseases, Osaka.
pp.545-550
発行日 1963年7月15日
Published Date 1963/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201231
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.はじめに
Pickwickian Syndromeは,1956年Burwell1)が極度の肥満者に見られる心肺機能障害の中で気道の閉塞障害を伴わない肺胞低換気によつて特徴づけられる症状群に対し,Charles Dickensの小説"Posthumons Papers of the Pickwick Club"に出て来るJoeと云う肥つた少年についての記述に似ている事から,それにちなんで名づけたものである。
古来,肥満者に於て息切れ,心悸亢進等の症状が屡々観察されており,文豪ShakespeareのHamletにも"He"s fat and scant of breath"なる描写が見られる2)。文献的に肥満者に見られる心肺疾患についての記載は1819年Waddによるものが最初と云われている3)。その後1936年にKerr及びLagen4)は,"the postural synd—rome related to obesity"としてまとめ,肥満に基くtidal volumeの減少が呼吸困難,チアノーゼ,polycythemia等を,更に最終的に心不全を来すと述べている。1955年Sieker,Estes等は,somnolenceとperiodic breathingを加えobesity heart diseaseなる概念を発表した。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.