Japanese
English
原著
運動時酸素摂取量の意義
The Significance of the Measurement of O2 Uptake during Step-up Exercise.
長浜 文雄
1
,
小野寺 壮吉
1
,
大崎 饒
1
,
本間 威
1
,
北浜 恵三
1
,
菅原 宏見
1
,
上村 芳太郎
1
,
高木 浩
1
,
山口 貢
1
,
山中 剛之
1
Fumio Nagahama
1
1北大医学部山田内科
1The 1st Internal Medicine, Hokkaido University Hospital.
pp.847-854
発行日 1962年12月15日
Published Date 1962/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201164
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I.緒言
健康者の運動時O2摂取量は,負荷された運動量に相応して増す。それは運動によつて,呼吸数と一回換気量との増加による有効肺胞換気量の増加と,同時に心拍数及び一回拍出量の増加による分時心拍出量の増加,更に加えて,運動に直接係わる筋肉等でのO2消費の増加に起因した肺胞気と肺動脈血とのO2,分圧較差の増大のためと考えられる。然し,この時若し,換気量が正常に増加しても肺血管床抵抗を亢める様な事由,例えば,肺血管床の崩壊,肺毛細管壁の肥厚,硬化等による伸展性の低下,左心不全による肺うつ血等があると,肺血管床を流れる有効血液量,即ち,肺胞でガス交換に携わる流血量は減少し,O2摂取量は低下する筈である。従つて,ある一定条件下のO2摂取量は,その時の肺血管床の状態を反映すると考えられる。Motley1)は8吋の高さの1段踏台を1分間30回昇降させた時のO2摂取量が,その換気量の正常なのにも拘らず500ml/min/m2,BSA以下の時は,肺血管床抵抗亢進を考えるべきだとし,敢て,心臓カテーテル法によらなくとも,肺高血圧症の存在を予測出来るとしている。我々も心肺機能検査時には常にこの運動負荷を実施しているが,その中で右心カテーテル法により直接肺動脈圧を測定出来た症例について両者の関係を検討し,その成績は数度にわたつて発表2)3)した処であるが,それらを一括してここに発表し,大方の御批判を仰ぎたい。
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