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文献抄録
肺高血圧の突然死—Fames, T. N. : Ann. int. Med.56(2):252-264, Feb.1962/高地における肺浮腫—Leading Articles:Lancet 7224 :309-310,Feb.10,1962.
On the cause of syncope and sudden death in primary pulmonary hypertension/Pulmonary edema of high altitude
pp.325,366
発行日 1962年5月15日
Published Date 1962/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201091
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原発性肺高血圧では失神・突然死が稀でないが,その成立には諸説があつて満足すべきものがない。著者はそうした3例を経験し,剖検したところ,3例に共通の所見として,洞結節(sinus node)の動脈,これに中膜に顆粒状変性,出血,肥厚の存することである。他の続発性肺高血圧7例では洞に変化なく,洞結節,A-V結節も異常を示さなかつた。紅斑性狼瘡7例の動脈撮影では小動脈に変化があり,周囲炎があつたが,洞結節に変化はみられない。原発性肺高血圧自験3例には,その他,腎糸球体の毛細管に著変なく,脾の小動脈に玉葱状傷害に欠き,心にヘマトキシリン小体が見られなかつた。以上のような所見から,この3例では心律動,伝導系に傷害があつたものと思われる。その不整脈頻発で失神を招いたと解しうる。A-V結節の変化は徐脈を伴う完全ブロツクを招きうる。しかし肺抵抗が大であるから右室からの搏出量は増加しえない,それで心送血量は激減する。こうして洞結節,A-V結節にともに傷害があると,房性不整脈・完全ブロツクが合併し,心送血量激減するのみでなく,大動脈・冠静脈の血流が減少し,心筋の阻血を来すわけである。以上の3例ではそれが明かであつた。ただ,これらの血行力学は続発性肺高血にも共通に見られる筈であるが,後者では失神があらわれない理由ははつきりしない。
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