Japanese
English
診療指針
心室中隔欠損症とその外科治療
Ventricular Septal Defect and its Surgical Treatment
和田 寿郞
1
Juro Wada
1
1札幌医科大学胸部外科
1Dept. of Thoracic and Cardiovascular Surgery, Sapporo Medical College and Hospital
pp.327-337
発行日 1962年5月15日
Published Date 1962/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201092
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I.はじめ
心臓内直視下手術は1953年Lewisによる全身低体温法心房中隔欠損閉鎖の成功によって臨牀的応用の道が拓かれたとは云へ,心室中隔欠損症はその閉鎖根治の為には右心室切開を必要とし又右室流出経路における合併畸型の存在の為に全身低体温法ではその安全時間の制限の為用いられず,Lellehei等の交叉循環を用いる方法によっての成功を界として急速に体外循環を用いる開心術へと努力が為され,両心バイパス法,右心バイパス法(札幌大和田等)等種々の方法を経て人工心肺による完全体外循環を用いる手術へと発展し数年前ようやく今日の実用的な人工心肺装置の完成と相俟って心室中隔欠損症に対する根治下術も安全に行われる様になった。
云う迄もなく人工心肺による完全体外循環及び直視下心臓内手術完成の目標は心室中隔欠損症の根治手術にあったと云ってもよく此の事は又同時に他の方法によっては不完全な治療しか行う事の出来なかった他の多くの疾患に対しても根治を可能にしたものであり,心臓外科に一つの劃期的な新分野が開拓される結果となったものである。
以下私は人工心肺と云う新しい武器を持って多くの外科医が学んで来た心室中隔欠損症について,又その根治手術についての知見を私の経験と共に記す事とする。
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