Japanese
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綜合医学賞入選論文
脳血流をfeedback loopとする体動脈圧のfeedback oscillationについて
A feedback oscillation elicited in the systemic arterial pressure through cerebral blood flow as the feedback loop
佐川 喜一
1
Sagawa, Kiichi
1
1横浜市大医学部生理学教室
1Department of Physiology Yokohama University School of Medicine.
pp.743-753
発行日 1961年11月15日
Published Date 1961/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201033
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1948年アメリカのNobert Wienerはcyber—neticsという新しい学問分野の誕生を提案し,各種の自動制御機械や計算器と生物体との両者における制御と通信の機構を全く同一の理論的根底に立つて統合的に理解研究しようとする態度を唱導した1)。この提唱は広く世界各地で反響を呼び,一方では物理学者や工学者の生理学に対する積極的な関心を喚起し理論生物学或いは新しい生体機械論とでもいうべぎ啓蒙書類2)〜6)の出現を促すと共に,他方では生理学者医学者の間に自動制御理論や情報理論に対する興味を普及せしめ各種の生理学的な調節機構やその失調などをfeedback及びその破綻として理解説明しようとする気運を作りつつある7)〜15)。しかしこの様ないわば流行にも拘わらず,何らかの生体調節機構について真に定量的取扱いの段階にまで掘下げた研究は実はまだ僅かしかみられない。之は新しい方法論が諸種の学問領域に滲透して有益な研究へと結実する迄にはかなりの年月を要するという一般的な事実を物語るものであろうが,一つには又生体内の調節機構が非常に多数の多重loop系からなりたつていること,及び個々の要素が殆んどすべて非線型の動作をすることなどのために,線型要素系のシンセシスを主体とした工学的な制御理論では甚だ取り扱いが難かしいという事情にもよることと思われる。
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