Japanese
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文献抄録
体外循環時の心筋代謝—Wallace, H. W.; Rheinlander, H. F. & Sugarman, H. Z.,他
Cardiac metabolism during extracorporeal circulation.
pp.502
発行日 1961年7月15日
Published Date 1961/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201005
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Arch, Surg.82(1):158-166,Jan.1961
イヌを用いて心肺バイパス中および後の心筋代謝をうかがつて,バイパス後におこる心筋機能低下・心性低血圧の原因を知ろうとした。前(A),バイパス30分(B)、90分(C),体外循環中止し正常循環に復帰30分後(D)を比較した。呼吸商はA0.84,B1.06,C1.04, D0.92で,バイパス中に上昇する。冠血流量はA74.5ml/100g/minから上昇してB159.8, C142.2となり,以後回復しD81.6となつた。酸素利用もほぼ類似の態度をとり,A12.3ml/100g/min,から増加しはじめB22.3,C18.6となり,以後回復した。それで,バイパス間の冠血流量増加は,心筋酸素需要の亢進にもとづくかと思われる。非鹸化脂肪酸代謝に使われる酸素量はA1.75.B0.92,C0.24,D0.58で,バイパス中から後にかけて著明に減少するが,これは脂肪酸の嫌気的利用が亢進することを物語るであろう。乳酸・無性ブドウ酸の動脈血濃度はB,Cが高い。それらの心筋利用もB.Cが高くなつている。この変化は冠血流量増加によるのではない。おそらくバイパス中の好気的糖利用増加によるのであろう。以上から,体外循環中は心筋エネルギー需要が亢進し,乳酸・無性ブドウ酸の酸化的代謝が亢進する。冠血流量増加,酸素,無性ブドウ酸,乳酸の利用,呼吸商の増加などはそれを物語るであろう。
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