今月の臨床 胎児心臓を診る―この超音波所見を見逃すな!
大血管断面異常から診断できる先天性心疾患
完全大血管転位症
石井 陽一郎
1
1大阪母子医療センター小児循環器科
pp.1129-1135
発行日 2023年11月10日
Published Date 2023/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211095
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●完全大血管転位症(TGA)は,妊娠第5週に大動脈と肺動脈の分割時に形成される,円錐動脈幹中隔のらせん形成不全により発生する.先天性心疾患(CHD)の2%を占めるチアノーゼ性CHDである.
●胎児期の診断のために,①右心室から大動脈が,左心室から肺動脈が起始することの確認とともに,②心室中隔欠損(VSD)の有無,③肺動脈狭窄の有無による病型分類の確認が必要である.
●出生直後よりチアノーゼ・呼吸困難を生じるCHDであるため,重症度分類のために,①卵円孔の狭窄・閉鎖の有無,②動脈管の狭窄・閉鎖の有無を評価する必要がある.これらは妊娠経過中に進行する可能性があるため,経時的に評価する必要がある.
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