Japanese
English
原著
気道閉塞性肺疾患に於ける肺表面張力の変動及び肺の静圧・容量HYSTERESISにかんする研究(その1)
Studies on Pulmonary Surface Tension Changeability and Static Pressure-Volume Hysteresis in Chronic Pulmonary Disease with Airway Obstruction (I)
吉村 正治
1
,
辻 恒太
1
,
白石 透
1
Masaharu Yoshimura
1
,
Tsuneta Tsuji
1
,
Toru Shiraishi
1
1東大上田内科
12 nd Department of Internal Medicine, Tokyo University
pp.305-313
発行日 1960年4月15日
Published Date 1960/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200882
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
既にVon Neergaard1)の研究により明らかである如く,肺自身の収縮力を構成する力学的諸因子のうち最も大なる力を有するものは,肺の表面張力を主体とする肺表面自由エネルギーと,肺組織の弾性にもとつく肺弾性エネルギーの両者である。従つて若し諸種慢性肺疾患,殊に慢性気管支炎,気管支喘息,気管支拡張症或いは慢性肺気腫等,一連の所謂気道閉塞性肺疾患において,肺弾性の変化が著明でないか,又は肺弾性の変化のみにて説明出来ない障害が認められる場合等には,当然肺表面自由エネルギーの病的変化を迫求する必要が生ずるわけであるが,かかる分野における病態生理学的知見は今日未だ甚だ乏しい現状である。
肺表面自由エネルギーの減少は,肺の表面張力と肺表面々積の低下によつて生ずるが,Pattle2)の指摘している通り,実際には肺胞・小気管支等の内面をおおう,恐らくはmucoprotein(Macklin3)等)の性状の変化によつて大きく左右され,従つてその病態生理学的研究をなすに当つては可成り複雑な因子について検討を加えねばならない。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.