Japanese
English
綜説
腎の尿濃縮,稀釈機構に関する最近の見解
Modern Concepts on the Concentrating and Diluting, Mechanism of Urine in the Kidney.
加藤 暎一
1
,
山内 真
1
,
安掛 操
1
Eichi Kato
1
,
Makoto Yamauchi
1
,
Misao Akake
1
1慶応大学内科
1Dept. of Int. Med., Keio Univ. School of Med.
pp.972-986
発行日 1959年11月15日
Published Date 1959/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200830
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まえがき
腎は正常時生体の水分の要求に応じ,濃縮尿或は稀釈尿を生成して体内の水,溶質バランス,即ち滲透圧を調整する。従来腎の濃縮,稀釈力を知る試験として,Volhard以来尿の比重測定が広く行われてきたが,腎の濃縮稀釈力は滲透圧に関連して作用するものであり,従つて必ずしも比重とは相関しないので,滲透圧濃度の方がより正しく反映する。高張尿を排泄する能力は,鳥と哺乳類の腎のみが有する特性である。これら動物の体内では,体液の滲透圧はどの部位に於てもほぼ等しい値を示すが,最近の知見では特に腎髄質のみが非常に高い滲透圧値を有することが示されている。正常の人間では血漿と同一の約300m Osm/lの糸球体濾液より始まり,尿滲透圧の最低は約50mOsm/l (血漿のI/6),最高は1,000〜1,400mOsm/l (血漿の3〜4.5倍)であり,著者等1)の成績では水利尿時50〜150mOsm/l,平均84.4±10.9mOsm/l,脱水時(外因性にvasopressin使用せず)880〜1,280mOsm/l平均1,063±71.3mOsm/lとなつている。又犬においては最高1,800〜2,300mOsm/l,砂漠地帯に住むカンガルーネズミでは5,000mOsm/l以上にまで濃縮し得るといわれる。
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