Japanese
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展望
尿濃縮機構に関するCounter current模型と実際の腎髄質内物質の分布
Interrelation between counter current models for urinary concentration mechanism and actual intrarenal distribution of substances
星 猛
1
Takeshi Hoshi
1
1東京大学医学部生理学教室
1Department of Physiology, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.258-267
発行日 1964年12月15日
Published Date 1964/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902593
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はじめに
高張尿の産生に腎臓の髄質部分が特に重要な役割を演じているであろうということは,今日問題となつているcounter current学説がでるかなり前から幾つかの事実によつて知られていた。例えばHirokawa(1908)は腎皮質の組織液の浸透圧が尿の濃さに無関係に比較的一定であるのに対し,髄質の組織の浸透圧は尿の濃さに応じて変動し,常に皮質よりも高いことをすでに観察していた。またPeter(1909)は比較生理学的に髄質の比較的良く発達している動物と発達の悪いものとの間には明らかに尿の濃縮能に差がある事を記載している。しかし実際に尿の濃縮が髄質の機能として説明される様になつたのはごく近年であり,その端緒をつくつたのはHargitay and Kuhn(1951)のcounter current multiplier模型による溶液濃縮機構の説明の発表や,これまで尿の濃縮の機序として一般に考えられていた水の能動的輸送がエネルギー論的に不可能なことであることを論じたBrodsky(1955)の論文の出現などであろう。爾来腎生理学者の多くの目はいわゆるcounter current説と髄質の機能との関連に集中されてきたが,当初報告されたHargitay andKuhn(1951)の模型はあくまでも濃縮過程を説明する一つの模型であり,実際の腎の機能を説明するには多くの困難な仮定をする必要があつた。
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