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講座
非チアノーゼ性先天性心疾患における心内圧曲線について
Studies on intracardiac curve of acyanotic congenital disease.
新井 達太
1
Tatsuta Arai
1
1東京女子医大病院榊原外科
1Dept. of Surgery Tokyo women's medical collage.
pp.251-261
発行日 1959年3月15日
Published Date 1959/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200739
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はじめに
心臓カテーテル法を用いて調べられた血行動態,病理動態に就いての報告は極めて多いがこれらは主として血圧と血液中の酸素含有量の変化を基礎として論じられて居る。この心臓カテーテル法を行う場合,以前は水圧により心内圧を測定して居たが,本邦でもここ数年来電気血圧計を用いて心内圧の測定を行つて居る。これによると各博動毎の圧の変動が記録され,心内圧曲線として心房,心室,肺動脈など特徴ある脈波曲線が得られる。この心内圧曲線と心電図或は心音図と同時に記録すると,心臓摶動の一周期に於ける各位相に於ける心内圧の変化が観察される。
筆者は榊原外科に於て行われたボタロー氏管開存症,肺動脈狭窄症,心房中隔欠損症,心室中隔欠損症の手術所見と,心内圧曲線とを対比し検討してみた。ボタロー氏管開存症を除く三疾患は殆んどが低体温或は人工心肺装置を使用して行つた直視下手術例である。各疾患毎に特徴のある圧曲線がみられ,診断上かなり有力な手がかりとなり,手術時に注意して合併症の有無を見ねばならない症例も圧波形の検討により明かとなることが屡々ある。手術により確めた症例と心圧曲線とを対比し検討した報告が少いので,ここに報告する次第である。
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