巻頭言
ABBREVIATION
友松 達弥
1
1神戸医科大学
pp.139
発行日 1959年2月15日
Published Date 1959/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200724
- 有料閲覧
- 文献概要
最近用語の省略法が多くなつたことは人の注目を惹いていることに違いない。省略法は口述に当つても,記述に於てはなおのこと,簡便で,その恩恵にあずかることは仲々多い。以前から論文等で,度々出てくる用語——多くは薬品名等の固有名詞が多かつたようだが——の中一,二を選んで,例えば「アセチールコリン」(以下「ア」と省略す)と言つた調子で,省略法が活用されてきたことは周知である。この省略法は勿論この論文に限定されているもので,普遍性はないこと言う迄もない。
EKG, BCG等はもう今日では古い省略法の例と云つてもいいのではないだろうか。この古典的な用語が今日では一意的でなくなつた。BCGはBallistocardiogramのことも意味している。今二,三のよく似たものを挙げて見ることにしよう。ASDとADS(ADHともいうが),ASDは心房中隔欠損症であり,後者は抗利尿物質である。VSDとVDM,前者はASDの兄弟分で,後者は例のShorrのvasodepressor materialのことである。血沈のBSRと基礎代謝率のBMR等も一寸まぎらわしい。数え挙げるならまだいくつもあるはずだ。
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.